急性中毒の場合の一般的な処置

ここでいう急性中毒とは、事故・故意などによって、体内に有毒な物質(薬物や自然界の毒など)を体内に取り込んでしまった場合の事を言います。

有毒な物質について、もうちょっと詳しく言うと、自殺によく使われるのが、農薬(有機リン剤、パラコート)、医薬品(鎮痛薬、睡眠薬、抗うつ薬など)。あとは事故で多いのが一酸化炭素。

急性中毒の場合、応急処置をしたかしないかによって助かる率がかなり違ってきますから、そんな場面にぶち当たったら、救急車を呼ぶと共に、応急処置をするとGOODです。

さらに、どんな薬物によって中毒になったかという点が分かると治療もしやすいので、残存する薬物や中毒者の吐いた物があれば、一緒に病院に持っていきましょう。

 

    急性中毒処置の手順

T)応急処置       その場での素人の処置。大体5〜10分程度が勝負。

U)毒物除去       病院での処置。胃を洗浄したり、吐かせたり、解毒薬を使って毒物の働きを抑             えたりして、とにかく体外へ毒を出そうとする

V)初期維持療法    意識がなかったり、上手く呼吸が出来ない重症な中毒者に対して行う。
               重症の場合、身体の水分や電解質のバランスが崩れ、危険な状態となる
               ので注意が必要。 

W)対症療法     中毒になった薬物によっては、身体に痙攣や昏睡、不整脈などの症状を起こす。             それらの症状の改善の為に薬物を投与する。

V、Wは高度専門的な医療で薬が中心の治療内容という訳でもないので、今回は省きます。

 

中毒の場合の大雑把な治療方法の流れは頭に入っったでしょうか?

では応急処置と毒物除去の流れを詳しく見てみましょう

 

 

   応急処置

     1.口から入った時

@催吐:指を喉に突っ込んで嘔吐を促す。手を入れるのが危険な場合、スプーンの柄で刺激するのが     良いでしょう。多量の水やぬるま湯を飲ませると嘔吐しやすくなる。

A緩和剤の投与:できるだけ大量の牛乳を飲ませる。その他ゼラチン液、泡立てた卵白、水で溶いた
           小麦粉などを用いる

B希釈:多量の水や濃茶で希釈する。できれば、その後嘔吐させる。

     2.気道から入った時(毒物が気体の場合)

@汚染された区域から新鮮な空気の場所に移し、衣類を緩める。

A呼吸が正常でなかったら、直接法で人工呼吸を行う。一分間に20回程度継続して行う。

B体温が下がっていたら、毛布などで包み保温する。

     3.皮膚、粘膜についた時

@付着物、衣類を剥ぎ取る。衣類を取るとき、流水をかけながら行う。

Aホースまたはシャワーで少なくとも15分間は水洗いをする。

B化学的解毒剤(油脂、重曹など)は使わない

     4.目の汚染

@目を開き、5〜15分間多量のぬるま湯または流水で目を洗う。
  目を開けられない時は、水を満たした容器に頭から入れて水の中で目を開ける方法も良い。

A化学的解毒剤(油脂、重曹など)は使わない。

     5.刺し傷、かみ傷(ハチやヘビなどの毒)

@出来るだけ、患者を動かさない様にする。

A患部より中枢側をゴム駆血帯で縛る。15分ごとに一分間だけ駆血帯をゆるめる。

B患部を氷嚢で冷やす。

C抗血清を使用する。

D患部の十字切開、30分以内に切開(吸引すれば蛇毒の10%は除去できる)


*応急処置をせず、早急に病院へ運ぶべき場合

1)痙攣、意識障害がある場合

2)ガソリン、、灯油などの揮発性物質を摂取している場合

3)強酸、強アルカリなどの不祥区政物質を摂取している場合。

 

 

 

   毒物除去

     体内に入ってしまった薬物を出来るだけ取り除き、その吸収を抑えるための治療方法です。

     主に催吐、胃洗浄(最も一般的)、活性炭の投与、アルカリ利尿、血液浄化、拮抗薬の投与などの方法が取られます。

     詳しく言うと・・・・・・

 

      1)催 吐   有効な手段だが、日本では殆ど行われていない。

 

      2)胃洗浄   現在、最も一般的な手段。服用後早期(4時間以内)では有効だが、時間が経過してからでは無意味。
               胃の中に留まっている時間が長い薬物には8時間くらい経っても有効な場合がある。

               やり方(見てる方もやられている方もかなりツライ)

                @:口又は鼻からチューブを入れ、内容物を全て吸引、除去する

                A:温めた生理食塩水を1回150〜200ml注入し、その後洗浄、排出を繰り返す。
                  最低、生理食塩水2リットル分。
                   基本的には排出された液が透明になるまで繰り返す(拷問にちかい・・・・・・)

 

      3)活性炭の投与  活性炭は大部分の薬物を吸着するので、消化管からの薬物の吸収を防ぐのに有功。
                   薬を使った自殺者が来た時の薬剤師の一番の仕事は活性炭作りである。
                   通常、活性炭50gをマグコロールと共に250mlほどの水に溶いて投与する

 

      4)強制利尿法    尿のpHによって、尿中への薬物の排出が影響されるので、利尿薬などにより、phを変化させて
                   薬物の排泄を図る。ただし、心不全、腎不全、高齢者への使用は避ける。
                   尿をアルカリ性にするには炭酸水素ナトリウム。
                   酸性にするには塩化アンモニウムを点滴静注する

 

      5)血液浄化法    薬物などが大量に吸収されて血中に存在し、それが原因で重い中毒症状を起こしている時、
                   血液を浄化する方法が取られる。
                   方法としては血液透析、血液濾過、血漿交換、血液吸着がある。詳しくは省きます。

 

      6)拮抗薬の投与   可能な限り早期に投与する。

主な拮抗薬は以下の通り(さらっと流して下さい)

原因薬剤 拮抗薬
有機リン剤(農薬に含まれる)

一酸化炭素

モルヒネ系麻薬

青酸化合物

血糖降下薬、インスリン

三環系抗うつ薬

水銀

砒素

抗コリン剤

タリウム(殺鼠剤に含まれる)

アトロピン、PAM

酸素

塩酸ナロキソン(麻薬の呼吸抑制に拮抗)

チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム

グルコース

重炭酸ナトリウム

チオプラミン、ジメルカプロール

ジメルカプロール、チオ硫酸ナトリウム

ネオスチグミン(普通、消化性潰瘍治療薬)

プルシアンブルー(キレートを作り無毒化)

 

 

 

 

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