昨日の町で、 岩松顯

「泣きたい時は泣きなさい」

【製作年】2007年
【時間】20分
【監督】岩松顯
【脚本】岩松顯、伊藤修
【撮影】岩松顯、平川祐樹
【編集】岩松顯
【音楽】松沼侑宏
【出演】松林佳奈、石原明芽、石原智子、青木健治、
宮嶋麻衣
【ロケ地】愛知県碧南市
昨日の町で、

誰…。夢の中の私を助けてくれたのは。

 「おうちに帰ろう…」夢の中で泣いていた美由紀に温かい声をかけてくれたのは、その人だった。しかし、目覚めた美由紀には、その人の顔が思い出せない。切なくも懐かしい夢。そんなある日、彼女は、幼い頃、過ごした町へと向かうバスを見かける。思わず乗り込んだ彼女が、その先で見たものは、夢の中の景色だった…。
 心の奥に暗がりを抱える少女。そんな彼女を照らすわずかな光。本作品は、そんな心の救済を描いた小さな物語である。年を重ねるにつれ、心の奥で薄らいでいくノスタルジー。本作品は、失われつつある路地の風景を背景に、ノスタルジックな感情をふんだんに盛り込み、観る者の乾いた心に焼き付ける。



岩松顯(いわまつあきら)

【監督プロフィール】1967年・愛知県生まれ

高校時代より映画製作を開始。一時期、映画評論の執筆活動に専念し、インターネット・メディア等で映画評論を発表。作者のホームーページは、独自の視点で書かれた評論とともに、映画評論の掲示板も好評で、多数の雑誌やラジオ番組などで取り上げられる。評論活動の経験を生かし、映画製作を再開。その復帰後、第1作目の「Imomushi」は、世界10大映画祭の一つであるシネクエスト映画祭(USA)で観客賞を受賞。現在、地元で中央に負けない映画製作をめざして、その在り方を模索中。

【この作品で伝えたかったこと】

 本作品は、幼き日に傷を負った自分を成長した自分が癒しに行くという自己救済の話だが、特徴的なのは、その傷を「現実世界で他人の存在によって救われる」のではなく、「妄想世界で自分自身によって救われる」という点である。こうした設定は、対人関係の苦手な現代人の特徴を反映したものである。親の愛情不足によって心に傷を負っているという主人公のキャラクター設定も現代人の象徴として考えており、そんな主人公が「大人になってから」自分自身を救いに行くのは、十分に母性が目覚めていない思春期以前には、心の傷を救う力が足りないからである。母性こそが、孤独な現代人の魂を救うものであり、病んだ現代社会を救う最大の希望は、母性の力ではないだろうか。そんな作者の思いを込めて物語を創造している。
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